昇進・昇格はどう決まる?成長し続ける組織の管理職に期待されることとは?

イーバリューでは、2~3年目の若手社員がプロジェクトリーダーとして一つの事業に関する判断を行ったり、売上が年間数億を超える案件の管理をコンサルタントとして進めたりと、年齢に関係なく活躍しています。そして、昇進や昇格についても、年齢や入社年度ではなく、その社員の実績や能力、仕事への姿勢、人間力などを独自の基準に沿って決定しています。

今回は昇進・昇格の制度について前編・後編に分けて紹介します。前編では、制度の特徴や考え方について解説し、後半では、2022年4月に昇格した若手社員へのインタビューを行います。

変化・成長する組織の中で柔軟に評価する

イーバリューでは「ノーレイティング制度」の考え方をベースにして、実績や能力、仕事への姿勢や人間力(人や組織を惹きつけ、動かす、対人影響力や行動力、発想力の総称)などから社員を評価します。

 

ノーレイティング制度とは?

 

ノーレイティング制度は、「A」「B」「C」といった評価で社員をランク付け(レイティング)しない新たな人事評価制度のことです。GoogleやP&G Japan、日本マイクロソフト、カルビー、メルカリなど導入する企業が増えています。

 

主な特徴は以下の通りです。

① 年次評価において、点数づけ・ランクづけを行わない

② マネージャーと部下がリアルタイムでコミュニケーションを行う

③ マネージャーの裁量で給与額を決定する

 

ノーレイティング制度では、リアルタイムで目標を設定し、関係者からフィードバックをもらうことが可能です。その都度、評価を行うので、現在の自分に対する評価が得られます。そのため、環境の変化に対応しやすく、社員のモチベーションの向上にもつながります。

また、上司やリーダーが総合的に評価を決定するため、環境の変化や働き方の多様性に対応できます。適切な評価をし、納得感を増すためにも、頻繁に面談やミーティングなどのコミュニケーションで、本人の目標と現状のギャップ、フィードバックを伝えるのも大きな特徴です。

加えて、従来の評価制度で行われていた勤続年数や年齢などに応じて役職や給与を決定する年功主義や、営業成績などの成果のみで評価する成果主義を主軸にすることはありません。

 

 

イーバリューでは、ノーレイティング制度を採用している点に加えて、以下の要素も一般的な制度と大きな違いがあります。

 

・一般的に実施されている筆記試験やレポート提出など画一的な試験は実施しない

・共通の評価基準が定性的

 

画一的で具体的な基準(営業成績や試験の点数など)は、あえて定めていません。私たちは、市場環境の変化への対応スピードを強みとしています。それを最大限に活かすために、「セルフマネジメント型組織」というオリジナルの組織体系(詳しくはこちらの記事をご覧ください)を採用しており、全く同じ業務内容やポジションで仕事をしている社員はごくわずかです。

加えて、事業内容や業務内容が柔軟に変化していくという特徴もあります。そのため、画一的な基準で適切に、社員を評価することが難しいのです。その社員ならではの活躍や、前例のないポジションも適切に評価するために、柔軟性を重視しています。

 

社員とともに明文化した評価基準

昇進・昇格のタイミングは年に1回で、代表が決定します。毎年12月に対象者についての情報と意見を関係者から集めます。それらをもとに、必要に応じて昇進・昇格の可能性があるメンバーへ、その旨と、昇格のために必要な要素や解消すべき課題が伝えられます。その後の経過をもとに、3月に再び関係者からの情報と意見の収集を行い、最終決定をし、4月に発表します。

 

 

役職は、マネジメント1~マネジメント4(M1、M2…と略します)までの4階層に分かれています。また、評価基準は現状に合わせて定期的に見直しをしており、現在の基準は、2022年の2月に代表と当時のM1以上の社員が議論を重ねて更新したものです。人事分野についても広く意見を募って決定していくことで、実情とのギャップをなくすのがイーバリューの特徴の一つです。

 

評価基準は、大きく3つの要素に分けられます。

①今までイーバリューが大切にしてきた能力や価値観

・エシカル力:真っ当な価値観(人として/仕事に対して)

・愚直さ:継続力(粘り強さ)、困難を楽しむ力

・主体性と責任感:自分がやってやろうという気持ち

②将来に向けて、より求められる能力や価値観

・目的思考(本質思考):「そもそも」から考え、合理的に判断する力

・共創力:他者と手を取り合い、シナジーを生み出す力、人を信じ、信じさせる力

・サスティナブル力:未来を描く力、長期目線、目標達成力

③会社の方向性への理解

・ミッションとビジョンの理解

 

M1~M3までは、どの職種でも共通の評価基準になっており、専門性を極めるスペシャリストであっても対人に関する能力や影響力が求められる点も特徴的です。人とのコミュニケーションが重要な事業内容や組織体系を採用していることが反映されています。

また、取締役レベルであるM4は、キャリアの方向性によって2つのステップに分かれています。一つは、チームを運営し、目標達成に導く「リーダー」(例:事業の責任者や、グループ会社の社長など)。もう一つは特定の分野の専門性を極め、生産性や収益性を向上させる「スペシャリスト」(例:デザイナー、エンジニアなど)です。

 

一般社員からM1に昇格する際の基準は、以下の通りです。(社内向けの表現をそのまま引用しています。)

 

M1に期待されること

 

エシカル力

・“働く”に対してポジティブである

・ズルをして勝とうとせず、真っ向から、王道で挑んでいる

・周囲へのリスペクト・感謝がある

・ボランティアではなく、ビジネスとして捉え、真っ当な利益を追求している

 

愚直さ

・困難や壁にぶつかったとき、諦めずに挑戦し続けられる

 

主体性・責任感

・自ら手を挙げ、率先して行動できる

・任された役割を自分事として捉え、やりきれる

・期待されている品質に応えられる

・会社が自分に何をしてくれるかではなく、自分が会社に何ができるのかを考えられる

 

目的思考(本質思考)

・固定観念や慣習にとらわれず、自ら問いを立てられる

・自ら目的に立ち返ることができる

 

共創力

・自分だけでは解決できない・達成できない問題を、誰かと協力して成し遂げられる

・自分の想いを正確に伝えられる

・相手を思いやり、意見や真意を読み取れる

・自身を飾らず、弱点を受け止められる

 

サスティナブル力

・「こうなったほうがいい」「こうあるべき」という理想の姿(目標・ゴール)を描ける

・古い慣習にとらわれず、自分自身が変化し、周囲に影響を与えられる

・物事を計画し、着実に実行できる

 

ミッション・ビションの理解

・会社の方針や価値観を理解・共感し、メンバーに発信できる

 

M4のキャリアステップごとに期待される要素

共通の評価基準に加えて、それぞれのキャリアの方向性に応じて以下の内容も期待されます。

 

リーダーの場合

新規事業を立ち上げたり、既存事業に新たな付加価値をつけたりすることで、今までになかったビジネスモデルを確立させ、収益化することができる。さらに、そのチームを適切に運営できる。

 

スペシャリストの場合

複数のプロジェクトに関わることによって、そのプロジェクトの生産性や収益性等を向上させ、自立を促すことができる。

 

一般社員からM1に昇格する平均年齢は、27歳です。2022年度までは、入社4年目からが昇格の対象でしたが、現在は経年の縛りは無くなっています。昇進・昇格については、経年関係なく決定するため、たとえ同期だとしてもタイミングはそれぞれ異なります。

 

以上の考え方や制度に基づき、昇進・昇格を決定しています。具体的な内容や、込められた意図などご理解いただけたでしょうか?後編では、2022年の4月にM1になった3名の社員にインタビューを行います。「昇格する前と後で何が変わったのか?」「今後の展望」など、本人たちの言葉で語ってもらいます。

 

後編の記事はこちら >> 新マネジメント座談会。マネジメントになって何が変わる?

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com