入社初日からスタートダッシュ!6か月で自分を鍛える内定者フォロー研修

オンライン採用が進むことで、内定辞退率の上昇が課題となっています。前年より内定辞退者が増えた企業は41.8%(※1)、さらに、複数内定を承諾した場合、最終的に1社に絞る時期が10月~12月で45%(※2)と最も高く、一般的な内定式開催時期の10月以降も内定辞退をする学生が多くなっているというデータもあります。

こういった結果や、コロナ前よりも選考中や内定後に企業との接触回数が減少せざるを得ない状況などから、内定辞退防止のフォローアップを工夫する必要があることが分かります。

イーバリューでは、採用活動だけではなく、入社までのフォローにも力を入れています。その結果、最終選考通過し、内定を通知してからの辞退は、毎年10~15%程度。内定式後の辞退は、現在のプログラムを始めた8年間で1名のみという結果です。今回は、内定後のフォローの内容やポイントをご紹介します。

入社初日からスタートダッシュを切るために

内定者フォロー研修のポイント

内定者フォローは、内定式から入社式までの間に合計10日間、研修形式で実施しています。原則来社していますが、遠方の学生についてはオンラインも活用します。内定辞退の防止に加えて、入社初日までにイーバリューで仕事をするための基本的な考え方や仕事への向き合い方を習得することをフォロー研修の目的としています。そのため、以下のポイントを重視しています。

①会社の価値観や理念に触れる(スキルではなく、価値観のトレーニング)

スタートダッシュを切るために最も重要なことは、会社の価値観の理解とすり合わせです。「価値観」は、今まで異なるコミュニティや文化の中にいた学生が入社する際に、最もギャップになりうる部分です。また、氷山モデルで考えても、人の行動はその根本にある価値観に基づいています。

▼氷山モデル

イーバリューでは、説明会や選考で「イーバリューの価値観」についてかなり時間を割いて紹介しているため、そこに共感している学生が内定となります。その後、さらに、研修を通してさらにそれを自分なりの理解をし、行動に落とし込んでいきます。

②入社後と変わらない社員とのコミュニケーション

加えて、社員とコミュニケーションをとることも大切にしています。来社した際の昼食は必ず社員と一緒にとります。また、社内で使用しているビジネス用のSNSに、内定者と社員のグループを作成。採用担当の社員だけではなく、いろいろな社員が内定者の投稿にコメントします。そのため、入社するころには冗談も言い合えるほどに打ち解けた状態になります。

③プロジェクトに仮配属し、実業務を担当

2月下旬~3月からは、入社後に配属予定のプロジェクトの業務の引継ぎを始めたり、関連する商談の場に同席したり、実務に関わる仕事を行ったりします。加えて、言葉遣いや所作などのビジネスマナーや、仕事の進め方についても、社員同様にフィードバックします。以前は、「まだ学生だから」「入社後に指摘しよう」とフィードバックをしなかったり、どこか“お客様”のような扱いをしていたりしたこともありました。それが内定者にとっては入社後のギャップにつながるなどマイナスに作用することも。そのような、ギャップを生まないためにも、入社後と同じ環境を再現します。

このような点をポイントとして、入社後に求められることを理解していきます。すると、現在の自分のできていることと、足りないことが明確になり、自然と「入社したらこれを頑張ろう!」と目標や課題が明確になります。また、会社や業務に関する理解が深まり、入社後に自分が働く姿を思い描くことができます。そのため、「イメージしていた会社と違う」といったよくある“ギャップ“が軽減したり、学生生活を送りながらも入社後のことを考えたりすることが多くなり、辞退率が下がります。

多様なプログラムで理解を深める

目的に応じて様々なプログラムを組み合わせて実施しています。

アウトプット研修

10月から3月までの期間、毎月1冊の奨励図書を指定。狙いに応じて論点を設定し、内定者はそれにそって意見や感想をディスカッションします。こちらから補足をしたり、発言の仕方についてフィードバックをしたりすることはありますが、慣れてくると9~8割は内定者だけでディスカッションを行います。奨励図書は、仕事に関する考え方や価値観を中心に入社までの間に触れておいてほしいものを選定します。

奨励図書の例

・やり抜く力 GRIT (アンジェラ・ダックワース 著)

・下町ロケット (池井戸 潤 著)

・英雄の書 (黒川 伊保子 著)

価値観の育成という点に加えて、発言の量や質の向上という目的もあります。イーバリューでは、会議や打ち合わせ、朝礼、昼食など様々な場面で発言が求められます。そのため、先輩社員がいる場でも、気後れすることなく発言できるようになってもらいます。当初は、「発言がまとまらない」「遠慮してしまう」「相手の意見に質問することができず、発表状態になってしまう」など様々な課題が見つかりますが、6か月間かけてトレーニングをして、克服していきます。

人材サービスプロジェクトでのイベント企画

年度によっては、内定者で企画を行うこともあります。22卒については、人材サービスプロジェクトで就活イベントを開催しました。10月から企画会議を重ね、イベントの目的や内容を決定、集客も社員のサポートを受けながらSNS広告を出稿しました。

グループディスカッションイベント当日の様子

 

当日は、グループディスカッション講座を開催。社員からグループディスカッションのポイントを説明した後に、参加者同士で実際に行いました。イベントの最後は、参加学生と内定者で座談会を実施。内定者たちは「どう立ち振る舞うと一番いいのか?」と自身で考え、参加学生への声掛けや、学生からの質問に自身の経験を交えて答えるなど、会場の雰囲気づくりに努めていました。参加学生も前向きで、ディスカッション・座談会ともに大いに盛り上がり、終了後も会場に残って質問する学生も。参加した学生からは「一人ひとりに対してフィードバックをもらえてよかった」「講座だけではなく、座談会も充実していてよかった」と声がありました。

 

今回のような内定者が一から企画を考え、当日のイベント開催まで関わるようなものを任せたのは今年が初めてです。こういった実際のビジネスの場を経験することで、仕事の面白さや難しさ、達成感を味わってもらいたいと考えています。さらにイベントを通して、アイデアを考える、議論する、広告を作成する、プレゼンする、計画を立て実行するといったビジネスの基礎を実体験で学ぶことができました。

トライアルインターンと実践インターン

2月からはいよいよ入社に向けて配属先を決めていきます。まずは、選考中に確認していた業務適性を“トライアルインターン”の中で、より具体的に見極めていきます。半日で、営業やシステムの管理、デザイン作成などいくつかの業務を体験し、各業務の担当社員が現時点の適性を確認します。その結果によって、入社直後の配属プロジェクトや担当業務を決定します。(あくまで入社直後の業務であるため、数か月で担当業務が変更になることもあります。)その後、“実践インターン”として、2日間その業務を行います。また、これらの期間は、9時に出社し、朝礼に参加。業務を行い18時に業務を終了するという入社後と同様のスケジュールで業務を行います。また、社員からのフィードバックについても、入社後と変わらない内容を伝えます。例えば、敬語の間違いや、言葉遣い、話の聞き方など先輩社員が「入社後なら注意している」と感じる範囲については、全て伝えるようにしていきます。

入社後と同じ2日間を過ごすことによって、より明確な入社イメージが得られたり、適度な緊張感によってモチベーションが上がったりします。

このように10~1月にかけては価値観や能力のトレーニングを行い、2月からはより入社をイメージした活動を行うことで、内定者の意識やモチベーションを高く保つことができます。

内定者のコメント

実際に研修を経験した内定者のコメントを紹介します。

「一番印象に残っているのは、内定者だけで企画した就活イベントです。0から創り上げるというのが印象的でした。また、進める中で、1年目の社員の方がフォローについてくれたんですが、会議の進め方やメッセージの送り方などの細かい部分までフィードバックをしてくれました。入社後も生かせる部分だと思います。」

「友達の話を聞いていると、内定が出てから入社式までの間、入社予定の会社でなにかする…というのがほとんどない子もいます。私たちは、会社の価値観について学べたり、社員の方とコミュニケーションをしたり、行う予定の業務をしたりというのがあるので、4月から社会人になる!という意識が育ってきているように思います。もちろん緊張はありますが、しっかり準備したので、大丈夫かな?という不安ではなく、楽しみ!という気持ちが強いです。」

 

内定者からは、人材プロジェクトのイベント企画を一から創り上げた経験や、社員とのコミュニケーションについてのコメントが多くありました。

まとめ

このようにイーバリューでは、内定辞退の防止を目的にするのでなく、入社後にスタートダッシュをきることに重きをおいています。“価値観”の共有や、入社後と同じ環境・コミュニケーションを再現するインターンシップなど、新たなフォローの方法として参考にしていただけますと幸いです。

参照元

※1 株式会社ディスコの調査
※2 株式会社マイリファーの調査

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